第16章 殺人マシーン
「大丈夫、すぐに治るさ
俺が傍にいるから…」
俺は見え透いた言葉しかかけられなかった。
お前にも分かっているはずだ。
もう残り僅かな命だと言うことを…。
「悪りぃな…世話を掛ける…
なあに、こんな傷…すぐに治すさ
この借りは…必ず…返すぜ」
絶え絶えの息の中、精一杯の見栄を張る。
「当たり前だ
お前には貸しがいっぱいあるんだからな…
返すまでくたばるんじゃねぇぞ!」
最前線の片隅で戦友がまた一人散っていった。
肌の色が違う…。
言葉が違う…。
宗教が違う…。
そんなくだらない事で人と人は殺し合う。
敵を何人殺せば…。
仲間が何人死ねば…。
この馬鹿げた戦争は終わるんだ?
それでも俺は銃を手に機械のように無慈悲に人を殺す。
俺に武器を向ける奴は、女であれ子供であれ躊躇しない。
これが戦争だ。
自分の心を偽り、狂気に身を委ねなければ生きていけない…。
end