第2章 燃える秋
「俺は…。
俺はっ!
無性に『羊羹』が食べたいっ!!
栗だっ!栗羊羹だっ!
ただの栗羊羹じゃない!
コンビニで売っている一口サイズの栗羊羹じゃなきゃ駄目だっ!」
彼は自転車を飛ばし近くのコンビニに向かった。
だが、そのコンビニには、影も形もなかった。
お菓子の棚にも、デザートの棚にも、レジの横にもだ。
「なぜだ!何故ないんだ!
まさか某大国の策略か?北の陰謀か?」
そんなことが彼の頭をよぎった。
「次だっ!この先のコンビニにはあるはずだ!」
彼は更に自転車を飛ばし次のコンビニを目指した。
行く手を阻む黒い影…。
バイクや車に追い回され、壁は崩れ、頭上からは鉄骨の雨あられ…。
幾重にも張り巡らされた罠をかい潜りコンビニにたどり着いた。
「く…栗羊羹を…」
彼は店員に頼むとその場に崩れ落ちた。
「60円になります!」
店員の明るい声に彼は意識を取り戻した。
そして、手には燦然と輝く『栗羊羹』があった。
「やった…ついに手に入れた…。」
彼は感激の涙を拭い、『栗羊羹』を食べようとした。
「はっ!」
その刹那、彼は気付いてしまった。
「『栗羊羹』には『お茶』だっ!
静岡のお茶が合う!」
彼は更なる戦場に身を投じるのだった。
end