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千分の一話噺

第15章 風の悪戯


俺の頬にはくっきりと手形が…。
それを見たマコトは腹を抱えるくらい大笑いした。
「く、苦しい…麗ちゃんにやられたんか?
自分、何してん…あははっ」
「うるせー俺が悪いんじゃねぇ」
マコトはしばらく笑っていた。



それは30分ほど前のことだ。

俺は待ち合わせ場所の駅前ロータリーで麗子を待っていた。
「ごめんね、待った?」
「俺も今さっき来たとこだけど…珍しいな」
いつもジーンズばかりの麗子が珍しくフワッとしたスカートを履いていた。
「なによ、たまには良いじゃない」
麗子はちょっと頬を膨らませ横腹に肘鉄をした。
「ってぇなぁ…別に悪いとは言ってないだろ」
本音を言えば、悪いどころか惚れ直すくらいだ。
が、これは言わないでおこう。
これ以上麗子に弱みを掴ませる訳にはいかないからな…。
「いいから、乗れよ
マコトが先に行ってるはずだ」
俺は助手席のドアを開けた。
「うん」
麗子が車に乗ろうとした瞬間、強い南風が吹いた。

フワッ。

麗子のスカートがめくれ上がった。
「きゃっ!」
麗子はすぐにスカートを抑え、真っ赤な顔で俺を睨みつけた。
「…見たでしょ!」
「おばさんパン…」
言い終わらないうちに麗子の掌が飛んできた。

バチーンッ!!

麗子は「あかんべー」をして帰ってしまった。



「あははっ
そら~麗ちゃんらしいわ
当分、近寄らんとこぉ」
「春一番なんか嫌いだ!」



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