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千分の一話噺

第9章 大雪


東京にも数十年に一度くらい大雪(と言っても雪国とは比べものにならないが…)が降ることもある。

20XX年、東京は稀に見る大雪に埋まっていた。
一晩で平野部の積雪50㎝以上、未だに深々と降り続いている。
雪への対策がほとんど無い東京は首都機能が完全に麻痺した。

「かぁー!これじゃ何も出来ねぇなぁ
車も出せねぇぞ」

俺は会社に連絡した。
会社としても動きようがない為、臨時休業となった。
テレビでニュースを見ると高速道路は全面通行止め、電車も動かず、学校も休校となっているようだ。

俺がガキの頃なら、こんな雪の日は大はしゃぎで遊んでたよな。
近頃のガキははしゃぎもしねぇ。
まぁ親が遊び方も教えられねぇんじゃ、はしゃぎようもないか…。


「さて、まだ降ってるけど、一回雪掻きするかな
ついでに雪だるまでも作れそうだ」

昼過ぎても、雪は一向に止む気配がない。
このままでは止んでも身動き取れなくなりそうなので、玄関先や車が出入りするところの雪掻きを始めた。
邪魔にならない壁際に雪をまとめていったが、その量は半端じゃなかった。

「こりゃ、雪だるまどころか、かまくらもイケるな」

俺は雪の降る中、ガキの頃のように夢中で当たりの雪をかき集めた。
東京の雪は水分が多いからスコップで叩くとしっかり固まり、いつしか2mくらいの雪の塊となった。
これに小さめの雪玉を乗せて雪だるまにしてから、かまくらの穴を開ける。
大人でも座れば入れるくらいの立派なかまくらが出来上がった。

「よっしゃ完成や!」

気が付けば辺りは薄暗くなっていた。
雪はまだ降り止みそうもなく、身体も冷えてきたので部屋へ戻った。

次の日、雪も止み日が射していた。
あれからまた10㎝くらい積もっていたが、雪掻きしておいて良かった。
かまくらを見に行くと、近所の子供が遊んでいた。


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