第804章 母の日ラプソディー
「もうすぐ母の日だけど…」
私はプレゼントを悩んでいた。
「よう、千明!
何、暗い顔してんだ?お前らしくない…」
幼馴染みの幸太郎がウザい。
「うっさいなぁ
あんたみたいな能天気には分かんないわよ!」
「どうせ母の日のプレゼントの事だろ?」
図星だった。
「な、な、何で分かるのよ!?」
「…お前、毎年悩んでんじゃん
まあ、分からなくはないけどもう五年だぜ」
幸太郎は心配してくれた。
私の母は私が三歳の時に亡くなっている。
私が中学生に上がった五年前、父が再婚した。
本当の母の記憶はほとんどなく、再婚自体には賛成してるし、新しい母とも仲良くしてるし大好きだ。
しかし、母の日となるとなぜか意識してしまいプレゼントに悩んでしまう。
「考えすぎなんだよ
それこそ、カーネーション一本でも喜ぶと思うぜ」
「そんなことは言われなくても分かってるわよ…
でもさ、やっぱりちゃんとした物を送りたいじゃん」
しかし私のバイト代じゃあ、大したものは買えない。
毎年悩んでも結局は花束とケーキになってしまう。
「はぁ…」
「ため息なんか吐いてんじゃねぇよ
俺も多少はバイト代があるから協力するぜ
一緒にプレゼント考えよう」
「それは助かるけど、あんたは自分のお母さんにちゃんとプレゼントしなよ」
「うちの母ちゃんはカーネーション一本で十分だからな」
幸太郎はニカッと笑う。
二人でいろいろ考え、幸太郎から少し支援してもらって、母が好きな緑色の自転車を買った。
母が使っている自転車は再婚前から使っていて、あちこち錆びが出ていたから…。
「これなら喜んでくれるさ」
「幸太郎、ありがとね
来月のバイト代で必ず返すから!」
幸太郎に大きな借りが出来てしまったが、母が喜んでくれたから良かった。
end