第795章 世界征服は市長から
私の旦那は、いわゆる『中二病』を拗らせていて、今でもたまに変なモードに入ってしまう。
私もゲームやアニメが好きだから、ある程度は話を合わせられる。
今回は来週の私達が住む町の市長選挙が引き金になったようだ。
「俺は超能力で日本を支配してやる!
そしていずれは世界征服だ!」
「はいはい、分かった分かった…」
悪の帝王にでもなったのか。
「お前、信じてないだろ!?」
「あんたの超能力が何なのか知らないけど、どうやって征服するのよ?」
「まずはここを拠点にするため、市長になる!」
「はあ?来週の市長選挙に立候補するの?」
「そうだ!まずは地盤固めだ」
どっかの政治家が言ってそうだけど…。
「立候補するなら、こんな雪深い田舎町じゃなくもっと都会が良いんじゃない?」
今年は特に雪が多い。
大雪で外に遊びに行けないから彼のストレスが溜まったのかもしれない。
「ふふふっ…甘いな!
今まで余多の悪の組織が日本征服を企んだがことごとく失敗したのは、いきなり東京を支配しようとしたからさ!
俺は確実に地盤固めしてから東京に進出する…
まずはここの市長、次は県知事…
優秀な部下が育ったら、そいつらを他の県知事にして俺は東京都知事になり、総理大臣を目指す!
日本を支配下に置いたら世界征服だ!」
確かに堅実って感じはするけど悪の組織らしさはないわね。
「…ず、ずいぶん長い計画ね」
「一朝一夕に出来れば、もうどっかの組織がしてるさ…
そんな薄っぺらな征服では支配とは言えない
国民全員を俺の支配下にしなくてはな」
「…計画は分かったけど、あんたの超能力ってどこで使うの?」
肝心な超能力が出てきていない。
「ふふふっ…、超能力は奥の手さ
だからお前にも話せない!」
こいつ、『超能力』って言いたかっただけで、何も思い付いてないな。
「はいはい、頑張って世界征服しようね
…そろそろお昼ご飯にするわよ」
もちろん、市長選挙に立候補なんてしていない。
end