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千分の一話噺

第786章 葛藤


「はあ、今年も後一枚ね…」
11月のカレンダーを破った。

いつからだろう?一年なんてあっという間と思うようになったのは…。

子供の頃はクリスマスが待ち遠しかったし、老後なんて永遠の彼方くらいに思っていた。
歳と共にどんどん時間が早くなり、「もう年末?今年も何もしなかった…」と思うようになった。


『忘年会も兼ねて久しぶりに温泉行こうよ』
何年も会っていない友達からメールが着た。

ふと、何を着ていこうか?と考えた。
前に会った時の彼女はブランド品は着けてないのになんかお洒落に見えた。
私も若い頃はお洒落重視の薄着でも全然平気で、着膨れなんて恥ずかしいくらいに思っていた。
今では裏起毛のインナーにモコモコのセーターやダウンコートで見た目なんて関係なくなった。

鏡の中の自分が情けなくなる時が増えた。

『年末は忙しいから』
ここまでメールの返信を書いて手が止まった。
「これで良いの?言い訳してるだけじゃない?」
自分に問い掛ける。
彼女だって、家族もいるし仕事もしてる。
自分と差して変わらない生活を送ってるはずなのに…。

『温泉良いね
楽しみにしてるわ』

書き換えたメールを送った。


end


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