第765章 チャンスは五月病?
そう言えば子供の頃、ちまきが大好きでこどもの日には親に怒られるくらい食べたっけ……、あぁ……あの頃に帰りたい…。
彼はゴールデンウィーク中、自分の部屋に引きこもって現実逃避していた。
新卒で中堅企業に就職したが、合わない上司と自分が思っていた仕事が出来ず鬱々としていた。
所謂、五月病だ。
新しい環境に馴染めなかったり、新しい人間関係が上手くいかなかったり……、そういったストレスからゴールデンウィークでの長期休暇にやる気が失せてしまう。
休みの間にストレスを発散させる事が出来れば乗り切れるのだが、引きこもってしまった彼にはなす術がない。
なんであんな嫌みを言われなきゃならないんだ?
俺だって早く仕事を覚えようと懸命にやってるさ!
あのクソ上司がっ!あんな会社辞めてやる!
短絡的に辞職すると考えるのは浅はかであるが、今の彼にはそれしか思いつかないのだろう。
冷静に考えれば、新人がいきなり重要な仕事を任せられるはずもなく、仕事上でミスするのも、それを上司から注意されるのも当たり前の事だ。
…ん?メールが着てる。
『突然のメールすいません
いつも一生懸命に仕事をしている貴方にキュンとしました!私と付き合って下さい!
返事は明日、退社したら…』
え?同期の女子?何で?仕事してる姿?
思いもよらぬメールで、鬱々としていた彼の心は一変した。
淡い恋心が目覚め、認められていないと思っていた仕事での承認欲求を満たされたからだ。
努力が必ず報われるとは限らない。
だがしかし、努力をしている姿は誰かの目に留まる。
それが転機になる事も多い。
彼は転機のチャンスを与えられた。
それをものにするかしないかは彼次第である。
end