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千分の一話噺

第764章 たまには地元に帰ろうか…


私の地元は成人式が5月に行われる。

大学や就職先が東京の人が多いから、ゴールデンウィークの方が人が集まるからだ。

しかし、近年の5月はもう暑い。
普通に夏日になる。
こんな中で振袖なんて着ていたら熱中症で倒れてしまう。
だから軽装で出席する人が多い。


私も今年二十歳だから二年ぶりに地元に戻った。
「千春、久しぶり!」
中学高校時代の友達と駅で待ち合わせた。
千春は実家が老舗の和菓子屋で、小さい頃からお菓子作りをしていて、跡を継ぐつもりでいる。

「あ~あ、…千秋も都会に染まったわね」
千春は私を見るなり溜め息を吐いた。
「何よ、それ?
そんなに変わってないわよ」
私はファッションやメイクにはあまり興味がないから最低限の化粧しかしていない。

「だって千秋のイメージって、サイクリング部のユニフォームなんだもん…
いつもあのユニフォームで自転車乗ってたじゃん」
「あの頃はそうだけど、今は社会人なんだから…
千春だって、いつも三つ編みで瓶底眼鏡だったじゃない…」

「「プッ…アハハハッ」」

私達は当時を思い出して笑いだしてしまった。
「明日はみんなと会えるの楽しみだね」

千春と話して、慣れない東京で仕事頑張って疲れはてた心が癒された。
私は何か物にするまで帰らないって、意地を張ってたのかも知れない。
「…これからはちょくちょく帰って来よう」
心が軽くなった気がする。


end


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