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千分の一話噺

第762章 憧れは空の彼方に…


私がまだ小さかった頃、飛行機に乗った時、気圧の変化から目眩で気持ち悪くなってしまった。
「大丈夫?
今、お薬持ってくるからね」
スチュワーデスさんがすぐに薬を飲ませてくれて楽になった。
「…お姉ちゃん、ありがとう」
「もう、大丈夫ね
私たちはお客様が安全に快適に過ごせるためにここにいるのよ
何かあったらすぐに言ってね」
その時のスチュワーデスさんが綺麗で優しくて格好良かった。
「私、大きくなったらお姉ちゃんみたいなスチュワーデスになる!」
「あら、嬉しいわ
それじゃあ、それまで私も頑張らなくちゃね」

今はキャビンアテンダントと呼ばれ、スチュワーデスとは言わなくなったがずっと憧れだった。


…が、現実は甘くない。
背は伸びなかったし、美人でもない。
致命的なのは英会話が超苦手で全然喋れなかった。
おかげで諦めがついた。

しかし、転んでも只では起きない根性だけは付いた。

「アテンションプリーズ!
今夜も私、スチュワーデス典子がお送りする『オールナイト埼玉』をお楽しみ下さい」

キャビンアテンダントになった友達からネタを貰ってスチュワーデス芸人となり、今では地元埼玉のラジオ番組でMCもしている。
あの時のスチュワーデスさんの様に、これを聞いた誰かが元気になればと思っている。


end


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