第760章 猫に願いを…
私と彼はニャンコランドに来ている。
猫と触れ合えて、オリジナルの猫キャラクターが大人気のテーマパークだ。
「…何だそれ?」
「ここに来たらこれ着けないとダメでしょ?
はい、真也の分!」
私は彼に猫耳カチューシャを渡した。
「ちょっ!俺も着けるのかよ!?」
「折角のデートなのよ!
当たり前でしょ!」
真也はしぶしぶカチューシャを着けた。
「…こ、これで良いだろ?」
「うん、似合ってるよ♪」
思わず笑ってしまった。
「笑うなよ!」
「ごめんごめん、さあ行こ♪」
私達は園内を回った。
猫カフェもあるし、メリーゴーランドや観覧車は猫と一緒に楽しめる。
「…どう?少しは楽しめてる?」
「うるせぇな…ちゃんと楽しんでるよ」
実は彼、生死の境を半年もさ迷って留年が決まっていた。
病気で仕方なかったとはいえ、結構落ち込んでいた。
だから元気になった彼をここに誘った。
無類の猫好きだから…。
「…だったらもうちょっと笑ったら?」
「ふん……」
それでも、あまり笑顔は見れなかった。
「そこのお二人さん!
カップルでしょ?記念に一枚どうですか?」
記念写真を撮ってくれるサービスだ。
ちょっとしたコスプレも出来るみたい。
「撮ってもらうよ♪」
私は真也の腕を引っ張って衣裳を選んだ。
猫の被り物と上着だけ着替えて写真を撮った。
「すぐにプリントしますね」
出来上がった写真を貰った。
「見て、真也って猫っていうより豹だよね」
ヒョウ柄の衣裳が似合っていた。
「…ぷっ!お前まるで長靴を履いた猫だな!」
背の低い私は大きな被り物と履いて来たブーツが目立っている。
「やっと笑ったね♪」
「あぁ…、ありがとうな」
彼の笑顔が戻った。
end