第757章 お節に飽きたら…
年末、只でさえ忙しいのに正月のお節料理を大量に作らないといけない。
うちは本家筋に当たるので正月には親戚一同が集まるのだ。
代々伝統的なお節料理を振る舞ってきた。
それを楽しみにくる親戚も多い。
しかし、作る方の身にもなってほしい。
大昔は使用人もいたようだけど、今は義母と私の二人だけ。
代替わりして挨拶に来る親戚も減ったけど、それでもそれなりの人数分は用意しないといけない。
「お義母さん、今年は黒豆だけにしましょう」
義母も年だし、毎年作る料理を減らしてきた。
後は市販のお節料理をお重に詰める事にしていた。
しかし、義母がそれも止めると言い出した。
「お重も止めましょ…
その代わりお鍋にしましょう
カニとか入れれば豪華なお節みたいなものでしょ?
人数が多くても少なくても対応出来るし…」
確かにお節料理は煮物が多いし、蒲鉾などもお鍋の具材に入れて問題ない。
出汁さえ作っておけば、お節を作るよりはるかに楽だ。
「お義母さん!それ良いですね!」
私も大賛成だ。
材料もカニや伊勢海老を使っても、お節料理を大量に作るよりリーズナブルだと思う。
それに若い人にはお節料理よりお鍋の方が喜ばれるだろう。
伝統的なお節料理は廃れてしまうかも知れないけど、これが時代の流れだと思う。
end