第755章 ところ変われば…
私と彼とは決して結ばれてはいけない間柄だった。
戦国時代からの因縁の家柄のせいで未だにお互いを敵対視している。
そんな中、私達は出会ってしまった。
お互い一目惚れで家の事など考えもしなかった。
「え!?君はあの…」
「あなたはあのっ!?」
お互いの家の事が分かっても私達はもう止まる事はなかった。
「もう、駆け落ちしかない!
明日の夜、ロケット花火を打ち上げるから用意して出てきてくれ」
去年の夏、彼が決断し私達は駆け落ちした。
あれから半年、私達の仲は脆くも崩れ去った。
「…だって、彼はお餅を焼かないのよ!
水煮して食べるって有り得なくない!」
彼の故郷ではお餅は、水煮で柔らかくしてからお雑煮にして食べるらしい。
私は焼いたお餅をお雑煮に入れるのが当たり前だから、とろとろのお餅では納得いかなかった。
これが家柄による因縁なのかは分からないけど、私には我慢出来なかった。
end