• テキストサイズ

千分の一話噺

第753章 日溜まりの一時


『石焼~き芋~♪焼~き芋!
お芋、お芋、お芋だよ~♪
甘くて美味しい~焼~き芋~♪』

お馴染みのメロディとフレーズを響かせながら軽トラが走って行く。

「子供の頃、公園に行くと落ち葉で焚き火して焼き芋焼いてたおじいちゃんがいたけどな… 
あれは美味かったなぁ~
…今やったら問題になるんだろうな」
「そりゃそうよ!
この乾燥しまくりの時期に焚き火なんかしたら、すぐに火事になるわよ」
妻に叱られてしまった。

そのまま公園まで散歩すると、さっきの焼き芋屋が止まっていた。
「焼き芋食べていくか?」
「そうね」
大きめの焼き芋を一本買ってベンチに腰掛けた。
冬晴れの日溜まりの中、焼き芋を半分に分けた。
「はい、大きい方!」
「私に太れっていうの?」
妻は頬を膨らませた。

「じゃあ小さい方?」
「私、焼き芋大好きなんだけど!」
妻は大きい方を掴み取った。
「…自販機でお茶買ってくるよ」
乾燥もしてるし、芋を食べると口の中の水分もなくなるし、焼き芋食べる時にお茶は必須だ。

北風は冷たいけど、日向ぼっこしながら温かな焼き芋を頬張る平和な時間がいつまでも続けば良いと思った。


end

/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp