第749章 私の彼は…
彼からメールが着た。
『週末はそっちに行くからご馳走ヨロシク!』
彼とはSNSで知り合った。
SF小説が好きな私は、彼と意気投合して付き合う事になった。
しかし、彼と会えるのは何ヵ月かに一回程度。
超遠距離恋愛なのだ。
だから会える日はご馳走を作ってもてなしている。
私の手料理は彼の住んでいる所では食べたことが無いものばかりだから喜んでくれる。
「じゃあ、食材を買い込んでこないと…」
スーパーに行って食材を選ぶ。
「前回は豚肉料理だったから、今回は鶏肉料理にしよう!」
唐揚げに焼き鳥にローストチキンも作ろうと思う。
なんだかんだで一万円を超える食材を買い込んだ。
金曜日は朝から料理を作り始め、テーブルいっぱいの料理を作った。
「…これで明日は温めるだけで大丈夫ね」
仕上げは彼が来てからすれば一番美味しい料理を出せる。
翌日、朝から外が騒がしかった。
「着たわね!」
玄関を開けると眩い光が辺りを照らしていた。
「お待たせ!」
空に浮かぶ光の塊から彼がゆっくり降りてくる。
「10分遅刻よ!」
「ゴメン、ちょっと月に寄ってたから…」
彼は月の石を指輪に加工してプレゼントしてくれた。
そう、彼は宇宙人。
SNSのプロフィールにもヴェガ星系人と書かれている。
もちろん冗談だと思っていた。
しかし彼は、地球の事を調べるためにSNSに登録し情報を集めていたのだ。
初めて会った時もUFOから降りてきて、普通に日本語を話した。
「初めまして!」
彼の星の翻訳機は数百万の宇宙人の言葉が訳せるらしく会話には困らなかった。
地球に来る時は必ずUFOで来て、周りが騒然となる。
でも不思議な事に誰もUFOの事を覚えていない。
それも、彼の星の科学力なんだろう。
ただ唯一困るのが、彼の姿が人間離れしている事だ。
彼の星の技術でも姿は変えられないらしい。
デートするのはいつも他の惑星だ。
end