第712章 我が家の伝統
2024年1月1日午前0時…。
新しい年の始まりだ。
しかし、うちはまだ大事な行事が残っていた。
本当なら年末にやることだが、大晦日までめちゃくちゃ忙しくやってる暇がなかった。
「蒸し上がったよ!」
キッチンからお袋が蒸し上がった餅米を持ってきた。
「よし!早餅つきで一気に餅にするぞ!」
餅米を臼にあけ、杵で捏ねたから突き始まる。
返しをする親父と息を合わさないと上手く突けない。
「親父!頼むぞ!」
「任せろ!何年やってると思ってるんだっ!」
俺と親父はいつもの倍以上の早さで餅を突いた。
今は餅くらい年中売ってるが、うちでは正月に食べるは餅つきした餅と決まっている。
俺が子供の頃、親父とじいちゃんが餅つきしていた。
親父が子供の頃、じいちゃんとひいじいちゃんが餅つきしていた。
じいちゃんが子供の頃、ひいじいちゃんとひいひいじいちゃんが餅つきしていたと言う。
餅つきはうちの伝統行事なのだ。
俺の代で途絶えさせる訳にはいかない。
「突き上がったぜ!」
つきたての餅は、丸くして鏡餅と延ばして平餅にする。
「お疲れさま!
ちょっと遅いけど年越し蕎麦だよ」
お袋が年越し蕎麦を持ってきた。
「ふぅ…親父、明けましておめでとう…」
「おう、今年も美味い餅が食えるな」
ちょっと遅めの年越し蕎麦を食べながら親父と笑いあった。
end