• テキストサイズ

千分の一話噺

第614章 異世界アパート21


今週は七夕だ。
街の商店街には笹が飾られ週末には七夕祭りもある。
「こっちは暑いわねぇ」
「こっち?あんた、いつ田舎に帰ったの?」
涼子が首を傾げる。
「えっ…あっ…ちょっとね、あはは…
そ、それよりかき氷食べようよ」
異世界に行ってたなんて言えないから笑って誤魔化し、氷の暖簾を見付けて涼子の腕を引っ張った。

店の中はエアコンが効いていて涼しい。
「私は氷小豆ね」
涼子は即決だ。
「私は…ん~…いちごかな?…マンゴーかな?…
やっぱりいちごで…」
私はなかなか決まらない。
「そんな優柔不断じゃあ、男に逃げられるぞ」
涼子に突っ込まれた。
「だから男なんて…」
「じゃあ今度サーファーと合コンするけど参加する?」
「しないわよ!」
「はいはい…」
涼子は涼しい顔して氷小豆を食べた。


異世界《グランロールス》では、冒険者のゼクスがほぼ毎日、店に顔を出す。
「アヤコ、今度旧市街にある屋敷の幽霊退治をやる
何か拾ったら持ってきてやるよ」
「え?嫌よ幽霊の落とし物なんて!」
そこにカタリナが顔を出した。
「ちょっとゼクス!またアヤコにちょっかい出してるの!?」
「カタリナか…って、なんて格好してんだ!」
言われてカタリナを見たら…。
「ちょっと、それ水着!?」
髪をポニーテールにまとめ、真っ赤なビキニのブラに深いスリットの入った黒いミニスカート姿だった。
「これ?今日は、暑いからねぇ」
「カタリナ!またそんなはしたない格好して!」
ナタリーが本気で怒り出した。
「やばっ!アヤコ、あとよろしく!」
カタリナは一目散に逃げ出した。
「はははっ!深紅のカタリナも形無しだな」
「ほんと、ナタリーが一番強いんじゃない?」
「もう!アヤコまで!」
ナタリーは店の奥へ引っ込んだ。

ゼクスが来てから、何だか慌ただしくなった。


end

/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp