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千分の一話噺

第562章 大は小を兼ねる?


「今日は俺のところで打ち合わせしようぜ」
相方の礼二から誘われて、礼二のアパートへ向かった。
「そう言えば、お前んちに行くの初めてだな」
「そうだっけ?」
コンビを組んで三年になるが打ち合わせは大体ファミレスや俺のアパートでやっていた。
「うるさいアパートだけどたまにはいいだろ?」
礼二に着いていくと細い路地に入って行った。


ゴオォォォォォ~ッ!!!


「どわぁぁぁ!何なんだ!?この風はっ!?」
突然の突風に俺は飛ばされそうになった。
「ああ、風には気を付けろよ」
礼二は物陰に隠れて風を避けていた。
「てめぇ!先に言えよ!」
すぐに礼二の後ろに回り込み風を避けた。

暫くしたら風が止んだ。
「よし、今のうちだ」
礼二は物陰から出て先を進む。
「なんだよ?さっきの風は?」
俺は礼二の後ろから質問した。
「あれか?あれは換気扇の風だよ」
礼二は平然と答える。
「換気扇かぁ………
か…、換気扇だぁ!?」
「早くしないと、また誰かが換気扇使うぞ」
俺は訳が分からず礼二に着いていく。

アパートに着くと…。
「こ、これがアパート?」
目の前には巨大なファンしか見えない。
「アパートの側面全部が換気扇なんだよ」
「何だ?そりゃ!?」
部屋に入ると壁一面が換気扇の扉になっていた。
スイッチを入れると…。

ゴオォォォォォ~ッ!!!

扉が開きファンが回るのが見える。
「うわぁ~!吸い込まれる!」
「網があるから大丈夫だよ」
俺と礼二はファンの手前にある金網に張り付いて止まった。
「…お前…よくこんなアパートに住めるな」
打ち合わせにはならなかった。


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