第6章 強襲
日も暮れかかり、人影も無くなってきた町外れ。
十四郎は辺りに殺気を感じていた。
その刹那、風斬る刃が十四郎に襲いかかってきた。
咄嗟に逆手で小太刀を抜き、受け止める。
乾いた金属音が響いた。
「くっ!貴様!どこの手の者だ!?」
「死に行く者に言うことはない!」
十四郎は刺客を押し退け、小太刀を構え直した。
「小太刀で防げると思うかっ!」
刺客の刃が幾度となく振り下ろされる。
十四郎は小太刀だけで、刺客の刃を受け止めた。
「貴様の太刀筋は見切った…
命惜しくば退けっ!」
「拙者、退くわけには行かぬ!」
刺客は刀を構え直し、じりじりと間合いを詰めた。
「ならば、致し方ない」
十四郎も小太刀を納め、刀を構えた。
張り詰めた空気が漂う。
刺客が先に動いた。
振り下ろされた刃を、十四郎は弾き飛ばした。
飛ばされた刀が地面に刺さるのと同時に十四郎は膝から崩れ落ちた。
刺客の手には小太刀が握られていた。
「切り札は最後まで取っておくものだ。」
end