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千分の一話噺

第547章 限界集落…


ドドドドドドッ!

「おらぁ!どけどけっ!」
「御汰捨倶楽部のお通りだっ!」

駅前の目抜通り、俺の目の前をサラブレッドの一団が通り過ぎていく。
乗っているのはサングラスに革ジャンで決めてはいるが、白髪や禿げ上がった爺さんばかり。

我が物顔で駆け抜ける馬の一団に周りの人達は…、普段通りだった。

「な、…何今の?」
「あぁ、御汰捨倶楽部だよ
まあ、この町の名物みたいなものかな?」
地元の知人が教えてくれた。
「いや…でも…ほら…良いの?あれ?」
俺は頭の中が混乱していてしどろもどろだ。
「この町は見ての通り過疎ってるし、車も朝と夕方の通勤通学の時間帯くらいした通らないから、町も容認してるんだよ
所謂、町起こしになるんじゃないかって考えてるみたいだな」
知人も苦笑いしているが、何かしら話題になる事をしていかないと町そのものがなくなる危機感があるのかも知れない。

「はぁ…しかし、何でまた馬なんだよ?」
「何でも元々はみんな同じ乗馬クラブのメンバーだったらしいよ
その乗馬クラブも潰れちゃって、あの人達がそこの馬の世話をしてるそうだ」
シルバー事業の一環にもなってる様だ。

大半の老人は家にいたりデイサービスセンターの様な施設で過ごすのだろうが、馬で外を走り回る老後も良いかも知れない。
そんな彼らはシルバー暴走族と呼ばれている。


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