• テキストサイズ

千分の一話噺

第544章 下っ端の苦悩


俺はとある悪の組織の下っ端構成員だ。
上からの理不尽な命令である場所へ向かっていた。
「…何か腹へったな」
俺は近くのコンビニに入りおにぎりを買って食べながら先に進む。
「何で俺がこんな事しなきゃいけないんだ?」
愚痴りながら食べ終えたおにぎりの包みを捨てた。

「そこの人っ!ポイ捨てしたわね!
野菜に変わってお仕置きよ!」
どこからか声が響いた。
しかし、辺りを見回しても誰もいない。
「誰だ!?」
突然、目の前に三人の女性が現れた。

「輝く白さは旨さの証、シャイニング大根!」
「香る緑は鮮度の証、フレッシュ胡瓜!」
「燃える赤さは完熟の証、フルーティートマト!」
「「「私達!魔法少女ベジリーナ!」」」

派手な衣装と決めゼリフ、キラッキラの紙吹雪が舞った。
「…ん?少女?どこがだっ!
どっからどう見てもオバサンじゃないか!」
タプタプな二の腕、突き出た腹、垂れ下がった尻…。
間違いない!
「うっさいわね!魔法と言ったら少女なのよ!
誰がなんと言おうとそれがこの世の決まりなの!」
無茶苦茶な理論に唖然としていると…。
「大根ソード!」(大根で斬りかかる)
「胡瓜スライサー!」(スライスした胡瓜を顔に張り付ける)
「クラッシュトマト!」(トマトを投げ付ける)
いきなり必殺技(らしき動き)を放ってきた。

「…なんだ?それは?」
間借りなりにも悪の組織の構成員だ。
野菜攻撃くらいで殺られるはずはない。
「攻撃とはこう殺るもんだ!」
手榴弾を投げ付けた。

大爆発と共に三人は…。
「次は覚えろよ~!」
お決まりの捨てゼリフを残し飛んでいった。

変な邪魔は入ったが、無事に銀行へたどり着いた。
「家賃の振り込みくらい自分でしろよな」
月末の昼下がりであった。


end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp