第2章 悪夢再び…
「仕事も大事でごさいますが、命の方が遥かに大事と思います
それと、誠に申し上げ難いのですが、この列車は主の館が終点でございます」
執事は深々と頭を下げた。
「え~っ!そういう事は乗る前に言いなさいよ!」
慌てて窓の外を見たら、一面緑の草原を列車が走っていた。
(やっぱり、悪夢の続き?
それとも私、頭がおかしくなったの?)
『終点、館前でございます
お忘れ物無いようお降り下さい』
車内にアナウンスが流れドアが開いた。
プラットフォームに降り立つと目の前に巨大な館がそびえ立っていた。
「……………これ?」
やっと出た言葉はこれだけだ。
「どうぞこちらへ…」
執事に館の中を案内された。
30分くらい歩いたと思う。
「ねぇ、まだなの?
どんだけ広いのよ、ここ…」
どこをどう歩いたのか?、覚えられなかったがようやく主の部屋に着いたようだ。
「こちらでございます」
執事はドアをノックし中に入った。
「ご主人様、坂井彩奈様をお連れ致しました」
執事は私を館の主に紹介した。
「貴方があの執事の主さん?」
緊張もあってか変な日本語になっていた。
「わざわざ来てもらってすまなかったのね
リチャードの事を貴女が信用されていないようなのでね
私が出れれば良かったんだけど、何分時間が取れなくてね」
変な話し方で、とんでもない力を持ってると言う感じはしなかった。