第11章 ☆Story29☆ 夢に向かって
「社長、この件はメンバーのご家族には伝えますか?
現状まだ犯人がこちらに手を向けるかはまだ分かりませんし……」
『そうだな……警視庁も、新たな情報が分かり次第連絡をくれるようだ。
現時点で、ドルチェに危害が加わる可能性は低い。
もうしばらく様子を見よう。これが我々以外にも知れ渡ったら
世間を混乱させてしまうかもしれないからな……』
「ですね……でもメンバーは不安な気持ちのまま……
ゆりちゃん達に、任せましょうか?家族に伝えるかどうかは……」
『そうだな。皆それぞれ心の在り方などは違うからな。
親御さんに言って安心するならそれがいい。
ゆり達に任せなさい。』
「はい、そうします……」
『深刻な問題ではあるけど、
事務所からはまだ大丈夫って判断みたいだね……。』
「っまぁ、まだ何も被害が出ていないみたいだからな……でも、
内情を知ってしまった以上このまま……」
『でも、それはゆり達次第だよ?
……ほら、』
「……。」
百合はゆり達がいる方を指し、
太輔も再びゆりの方へ視線を戻した。
「アタシは言わない!あのパパのことだからますます心配するだろうし……」
「北山先生は言うまでもないからな……。」
『だね。もし言ったら太輔以上に心配するよ、
PTA一の親バカだもん(苦笑)』
「……来夢はどうしたい?
私はどちらでも大丈夫よ。」
「来夢も、いい!
だって言っちゃったら安心して北京に来れないでしょ?
お父さん達にはギリギリまで言いたくない。」
「……そうね、わかった。
私たちは、現時点では言わないわ。
事が深刻になったら、言うしかないとは思うけど……」
「私も、かな……私のところも来海ちゃんと同じで
今より余計に心配かけちゃうだろうし……千鶴ちゃんは?」
「私も言うつもりはないわ、現状。
芸能人にそういう危険なことは付き物だって、
両親もわかってるはずだから……ゆりも言うまでもなく……」
「うん、言わない。
パパには出国前にも心配かけちゃったし……
これ以上心配かけたくないよ……」
「っゆり……」
『……。』