第62章 怪人3人

「……今まで一度だって後押しされた事のないこの想い。こんなに優しい言葉かけてくれたのはあんたが初めてよ…！！」

「顔を上げて！マイフレンド。友情ってこういうものよ！私は“ナミゾウ”、ナミって呼んで。」

「ゆ…友情…」

「………………手なずけた。」

あんなに殺気立ってた猪が涙を流しナミの話を素直に聞いている。彼女…うん、彼女の名前はローラと言った。ナミとローラはすぐ仲良くなって、相談会が始まってしまった。どうやってあの男にアタックするか、という恋の相談だ。

「だからね、意識があるからハンコ押してくれないわけよ！相手が寝てる間にね…」

「寝込みを襲うの！？いいの！？それ人として！！」

「ローラ、あんたゾンビじゃない。」

「盲点！！それって腐れ盲点だったわ！！」

「寝てなくても気絶させれば充分よ。」

「…ナミ〜…あの、早く逃げない？」

和気あいあいと話してるのはとてもいいことだし、ローラは話せばいい子だってことは分かったけど。でも追われてる身としては早く逃げたほうがいいんじゃないかとこっちが焦ってくる。

「ところでローラ…私、財宝置き場で落とし物しちゃって…戻りたいんだけど、どこだったかしら。道教えてくれる？」

「ドジねェ、いいわよ。あそこはペローナ様の部屋から行けば近いわ。」

「あいつホントに転んでもただで起きねェな。」

「一番海賊っぽくはあるけどね。」

ローラから財宝置き場の詳細を聞いているナミが1番イキイキしているように思える。そう話している内に、向こう側からあの男が歩いてきてるのが見える。

「おいナミ、あいつが追いついて来たぞ！！」

「ホント！？ローラ！！アタックチャンスよ！！私はあいつに二度と遭わないから大丈夫！！頑張れ！！あんた達こそベストカップルよ！！」

「私頑張る！！！ありがとうナミ、勇気がわいてきた！！！」

さっきより勢いづいてあいつに突進しに行ったローラ。私に言わせると、まず無理やり婚約させるっていうことに疑問を感じるのだが…まぁそこはどうでもいいか。清々しい気持ちでローラを見送る。