第57章 我らが船

「おい！！おいおいおい！！ウソップ知らねェか！！？いなくなっちまった！！！」

「ウソップーーーーーーーー！！！」

ひとしきり喜んだ後、私達はゆっくりとウォーター・セブンへ戻っていく。そして早々と仮面を被ったウソップに、単純な2人はいなくなったと慌てていた。

「安心したまえ、彼なさっき小舟で先に帰った。」

「え〜〜〜〜〜〜っ！？なぜだー！！！本当は今、この船あいつのもんなのに。」

そう言い切ったウソップにサンジの蹴りが入る。まぁ…でもそっか一味を辞めた身だから、堂々とここにいるのはまずいと思ったんだろうか。一緒に戦っといて今更？とは思うけど。

「やっぱり誰もどこにも乗ってない。」

「…そりゃヘンだな。」

ナミが船室から出てきた。さっきからずっと誰がメリー号を操縦してきてくれたのか探していたらしいけど…なんとなく、本当になんとなく誰も乗ってなくて当たり前じゃないかと考えてしまう。

「確かにおれ達を呼ぶ声は聞こえたんだがな。」

「そうなのかい。」

「呼ばれたのは確かよ。」

「だからおめェら言ってんだろ、あらはメリーよ号の声だったんだよ！！」

「えーー！？本当か！？」

「な！メリー！！しゃべってみろ！！」

「バカ、船が喋るわけねェだろ。」

「………私も何だか、そんな気がしたんだけど…あるわけないわよね。」

あるわけない、確かに船は喋らないしましてや物なわけで…感情がない。だけど…直接脳内に来るあの感じ、人間じゃできないと思うけど…

「ん？前から船が来るぞ！！」

「何だ！？誰だ！？」

「ガレーラカンパニーの船だ……！！！」

大きい船だ…一瞬海軍かと思って構えちゃったじゃないか。その船には大勢の船大工さん達が乗っていて、アイスバーグさんも見えた。これでやっと…と思ったとき、変な音がしてメリー号の船首からざっくりと崩れてしまった。