第72章 生き残れ
「逃げろサンジ、狙ってるぞ!!」
「バカ!!さっさと行け!!」
「ウソップ、早く行くよ……!?キャア!!!」
「うわァ!!」
サンジを狙ったビームは、近くにいた私達も簡単に吹き飛ばした。至近距離にいたサンジは、どうやらギリギリで避けたみたいだ。
「ゼェ…ゼェ…悪ィ、落とした。ゾロ、大丈夫か!?」
「は…早く逃げなきゃ……」
震える足を持ち上げて走る。サンジの足止めを無駄にしてはいけない。こっちには充分に戦うことのできないゾロと、申し訳ないが力不足であるウソップと私しかいないのだから…逃げるしかないのだ。しかし…
「サンジーーー!!!」
ウソップの悲鳴にも近い声に、反射で足が止まった。後ろを振り返ると、クマのビームがサンジを貫く光景が目に飛び込んできた。そのままサンジはスローモーションのように地面に倒れていく。
「うっ……!!!」
隣にいたウソップも、クマのビームで倒れた。びっくりしてる暇もなかった。気づいたら地面に倒れていて、脇腹が痛かった。どうやらビームを食らっていたようだ。気絶するほどではない、まだ立ち上がれる。
「ブオオオオオ!!!」
ゆっくり震えながら立ち上がる。獣の声が聞こえてその方向を見ると…もの凄いデカイ化物がいた。いや、あれはチョッパーか…エニエス・ロビーで、チョッパーが巨大化した話を聞いた。ランブルボールの食べ過ぎの副作用で起きた形態らしい。
「………………ハァ!!チョッパーのやつ…!!またアレを…」
「…!!ウソップ、無事でよかった…!!」
「お互いにな!!…サンジ!!ブルック!!立て!!………ハァ、ここを離れるんだ早く!!…またビーム来るぞ!!!」
ゆっくりゆっくりと後ろからクマが近づいてくる。二人共揃って動けないのは分かるけど、そのまま倒れていたら海軍に身柄を確保されてしまうかもしれない。いや、最悪殺されてしまうかも。必死にウソップと一緒に呼びかける。
「待て……『PX-1』!!」
「え?……え~~~~~~~~~~!!?また出たァ~~~~~~っ!!!」
後ろからまたクマが現れた。いや…待って、これ本物のクマじゃない…?だって、他のクマ…パシフィスタと違って、あいつだけ本も手袋も持ってるんだから…