第3章 とある休日の過ごし方
ふ、と意識が浮上したのは、まだ完全に夜が明ける前。
カーテンの外は薄明るくなってきていて、もう少し寝ていても大丈夫そうだ。
寝返りを打とうとして、私をしっかりと抱き締めている腕に気付く。
見上げた先には、気持ち良さそうに眠る翔くん。この寝顔を見るのも、もう何回目だろう。
(あ…寝癖ついてる)
柔らかな髪に触れると、彼はもぞもぞと身動ぎした。
「んー…さくら…?」
「あ…起こしちゃった?」
「ううん、へーき。おはよ」
ちゅ、と音を立てて、額にキスが落ちる。
「ふふ、寝惚けてる?」
「かもね。今何時…?」
「もう少し寝てても大丈夫だよ」
正直、寝たのがだいぶ遅いからまだ眠い。
小さな欠伸を漏らすと、抱き締められている腕の力が強くなった。
肌から直接感じる体温に、じわじわと眠気が呼び起こされていく。
「じゃあ、さくらも二度寝しよう?」
「うん…」
「起きたら軽くなんか食べて、どっか行こうか」
「うん…」
完全に瞼が落ちて、翔くんの声が遠くなっていく。
おやすみ、と優しく髪を撫でられたのを最後に、私はまた眠りに落ちていったのだった。
目が覚めたらお昼過ぎで、ランチデートついでに私の家まで送ってもらうことになったのはその後の話。
充実した休日を過ごせたので、またしばらく頑張れそうです。
・ ・ ・ f i n ・ ・ ・