第5章 「逃げ道」
「じゃあ言いますけど…部活、追い出されちゃったんですよ」
「…は?」
その場の声の届く範囲にいた人たちはみんなぽかんとして立ち尽くしている。
「なんか変な転校生が来て、仕事教えても全然覚えてくれなくて、挙句私がろくに仕事も教えずに仕事押し付けたとか嫌がらせしたとか嘘ついて。みんな、バカみたいにそれを信じちゃって。」
他人事のようにぺらぺらと言葉が出てくる。
それは無意識のうちに強がっていたのかもしれない。
「ふぅん、王様はなんて?」
いつものやる気0%の国見くんの声。
「別に何も。」
影山くんは私に何も言ってない。
「なら、まだどっかで白井を信じてるんだろ?」
岩泉さんが言う。
__信じてる__
私が今、一番ほしい言葉だ。
「あれ…なんでですかね…目から海水が…あ、止まんない…あれれれ?」
必死に目を擦る。
「うぇ…」
みっともない。
恥ずかしい。
これじゃあの女とやってること変わんないじゃん…
でも、溢れる涙は止められない。
「泣いていいよ」
シンプルで、素っ気なくて、その上軽い人が発する言葉。
でも、
こういうときは、
こういう言葉が、
ちょうどいい。
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