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魔界皇子と魅惑のナイトメア

第3章 青の瞳



「ねええ天月さん、次の授業何?」
「ウチは魔界史だって」

時間割をひらひら揺らしながら言う天月は、すごく嫌そうな顔をしている。

「葵さんって英語できる?」
「少しぐらいなら」
「そう」

葵の言葉にがくりと頭を下げる。

「苦手なの? 英語」
「……いや、苦手というか大っ嫌いというか。てかなんでみんな日本語で話してるのに書く文字は英語なの? 嫌がらせだよ! あ、もしかして、言葉も英語で時空を超えたことにより翻訳されてんのか。だったら文字も日本訳してくれー。ああ、翻訳こんにゃくが欲しい、てかドラ◯もんが欲しい」
「うん、私も欲しい」

同感と言うように頷いた。

教室に入るとすぐさま後ろの席を陣取る。
周りを見ると生徒たちは皆仲の良い友達と話している。それを机に肘をつきながらなんとなく生徒たちを見ていると、授業の始まりのチャイムが鳴り先生が入って来た。
チラチラ時計を見ていると先生に当てられて、おずおず立ち上がり教科書の文字を見る。


(……わからない全くわからない……今どこ読んでるのーっ!)


…………すみません、読めません

先生に伝えた途端、生徒たちにクスクス笑われて一瞬怒りがこみ上げかけるが気を落ち着かせるように、大きく息を吸って吐いた。
あの子たちにとって英語を読めるということは当たり前のことだ。なので何も言えない。

「もういい座れ」
「はい」

席に座り体をちじこませる。
今だに耳に届く笑い声を聞きながら小さく溜息を吐くのであった。

果てしなく気まずさの残る授業が終わり、なんとなく庭を見ながら廊下を歩いていると、木下にいるアキアの姿を見つけた。

「何やってんの」

木に上ろうとしているのか、何度も落ちては上りを繰り返している。

「……てか、全然上れてないし」
「あ、天月さん、魔力の練習をしていたらボールが木の上に行ってしまって……」
「え、ボールを浮かせようとしてたの?」
「はい」

がくりと肩を落とす彼に、自分が木に上ると言えばアキアに「だめ」と言われてしまう。

「もう……いいんです」
「だめだよ、もったいない」

木に上りよじ登る。すいすい上っていく姿にアキアは驚いている。

「天月さんすごい。あっ危ない!」

ボールを掴んで戻ろうと屈んだ時、足が滑り地面に体が投げ出される。

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