第2章 美しい嘘つき
次の日の早朝、目を開けるとフェンと葵の声が聞こえた。起きると面倒ごとに巻き込まれるので狸寝入りを決め込む。
「絶対ダメ?」
「ダメです」
「誰かを抱きしめていないと、悪夢を見ると言っても?
「でしたらお昼寝の相手と寝てください」
そうなんだけどね、俺のこと好きな子と寝ると、寝かせてもらえなくて困ってて、いろんな子と試しているんだけどみんなダメなんだ。そうだ、ベビちゃんが俺と一緒に寝てくれるってのはどう? これから毎晩」
「はい?」
「そんな顔しなくてもいい案だと思うんだ。もちろん寝るだけだよ。俺もベビちゃんとなら気持ちよく寝れるって証明できたから……こんなによく眠れたのは久しぶりなんだ」
「そ、そんな顔してもだめなものはだめです。私に言われても困りますから」
(こいつ、マジやばい奴だわ……)