第19章 番外編 両手のぬくもり
「にはおれもいるでしょ?」
そう言って、少し拗ねたような顔をしている研磨。
なんだかそれがおかしくなってしまって、また私の口から笑いがこぼれた。
『ふふっ、うん。そうだねっ。』
私がそう返すと、研磨は満足そうにまた前を向いてしまった。
何だか、繋いだばかりの時よりも2人が私の手を握る強さが少し強くなってる気がする。
何だかそんな小さなことも嬉しくて、思わず2人のポケットに入った両手をそのままに、ぶんぶんと振ってみる。
「ちょっ、。」
「うおっ、こらこらちゃん、危ないでしょーが。ポケットがちぎれる。」
『ははっ、ごめんなさーいっ。』
いつも一緒にいるけれど、でももっと一緒にいたいな。
これから先もずっと一緒にいられるかな?
先のことは、まだわからないけれど、できる限り一緒にいたいな。
取り敢えず今は、と、頭に浮かんだとてもいい考えを口に出してみる。
『ねぇねぇっ、明日はお休みだし、久しぶりに3人でお泊まり会しようよっ。···クロちゃん家のおばあちゃま、許してくれるかな?』
「んぁ?いいんじゃね?ばーちゃん、が来ると喜ぶし。」
『ほんとっ?帰ってきたらおばあちゃまに聞いてみよっ。ね、研磨も来てくれるよね?』
「んー、が言うなら。」
『やったっ。』
現金な私は、さっきまで寂しくて落ち込んでいたのにそれは一転。
今決まった、久しぶりのお泊まり会にただ胸が弾む。
そういえば、あんなに寒かったこの学校までの道のりも、こうして3人で歩いているだけでいつの間にか寒くなくなっている。
心も、そして体までポカポカと温かくしてくれる両脇を歩くこの2人の幼馴染が本当に大切で大好きだと思う。
『ふふっ、2人ともだいすきっ。』
私が笑いながらそういうと、2人とも穏やかに笑ってくれる。
穏やかな空気をこんな風にかみしめながら、2人の手を握り締めて歩いていく。
どんなに寒くても、研磨とクロちゃんと一緒なら何でもないや。
早く授業も、部活も終わらないかな、なんて。
中学校までの道のりを、私はニコニコと歩くのだった。
END