第4章 友達
「大丈夫ですか?」
見事にひっくり返ったあたしを見て、その男の子は心配の言葉をかける。
久しぶりに悪口以外の言葉をかけられたな…
って、そうじゃない。
どうせこの男の子も、あいつらと一緒なんだから。
ていうかこの人、影薄いな。
「橙乃さん?」
『大丈夫なのでお構いなく』
「ひっくり返ったまま言われても説得力ありません。それと、見えてますよ」
きっとパンツの事だろう。だけどここで慌てて戻したら負けた感じがする。
あたしはこの体制のまま話すことに決めた。
『それで、何の用ですか?』
「…体を戻してください。目のやり場に困ります」
さすがに首も痛いし、相手もこう言ってきたため体を元に戻した。
話しかけてきたということは、何かしら用があるんだろう。早く用件を言って消えてくれ。
…どうせ、くだらない事に決まってるだろうけど。あたしの名前知ってるみたいだし。
って、今更あたしの事知らない人なんていないか。
『で?』
「そうですね、単刀直入に言います。
僕と友達になってくれませんか?」
『はい?』