第13章 3月 卒業 旅立ち
(ウチだって心配なんやけどな・・。)
高校に行き出したら毎日会えるわけではなくなる。
光くんに限ってないとは思うけど会えないわけだし少しは心配だ。
春休みが終わる。
明日から光くんは3年に、金ちゃんは2年に、そしてウチらは・・・高校1年に。
ウチらにとってこのメンバーが全員ここに集まっての部活は最後。
今日は光くんが家まで迎えに来てくれた。
「光くん、これ。」
「なんすか?」
光くんの手にあるものを置いた。
「ウチも変な虫が付かんように・・・な。」
「・・・っ//」
心配なものは心配だったのだ。新入生も入ってくる。
光くんはウチのものっていう証が欲しかった。初めて感じる独占欲。
光くんくんに貰った指輪と似たデザインの指輪を探した。ぱっと見ただけじゃ違う指輪だと気づかない。
よくわからないけどそこまでこだわりたかった。会えなくても光くんと繋がるなにかが欲しかったのだ。
あっという間にコートに着いた。みんなももう来ていた。本当にこれで最後。
みんないつものようでいつものようでない。そんな感じで最後の部活をその身体に心に刻み込んだ。
テニスが好きで、みんなのことが好きで、引退してからだっていつでもここに来た。受験に追われていたって、嫌なことがあったってここに来てみんながテニスをしている姿を見たら頑張ろうって前に進むことができた。
そしてこれから、みんなそれぞれの夢に向かって歩き出す。
このメンバーはきっとこの先作れない。本当の最後に涙が溢れた。
三年生はほとんど涙ぐんでいるのに光くんと金ちゃんの二人は反対に清々しい顔をしていた。
「先輩らなに泣いとるんですか。」
「せやで、ワイら決めたんや!!なっ財前。」
決めた?一体何をだろう。全員が同じことを思っているだろう。
「今泣かんといて、俺らが今年優勝するんでそんとき泣いてください。」
(今それぞれ未来に向かって歩き出した。)
終