第10章 12月 イベント目白押し
12月のおわりごろ。
一年間お世話になった部室を大掃除することになった。
「げほっ!!ごほっ。すんごいホコリや。」
ほぼ毎日ウチが掃除していたとはいえ、部員のロッカーは開けたことなかったしロッカーの上とか裏は見たことがなかったので、一年間のホコリが積み重なって出てきた。
全員マスク、手袋の完全防備で手分けして道具を部室の外に出していく。
「千歳ぇ、棚の上の箱どかしてくれへん?」
「これでよかか?」
身長高い組は主にロッカーから荷物を降ろしていく作業をしている。
ふいに部室の壁際に目をやると金ちゃんが退屈そうにしゃがみこんでいた。
「金ちゃん!!サボッとったら毒手やで。」
「うわっ、白石!!毒手はいやや!!」
しぶしぶ荷物運びを始めたが余り乗り気ではないようだ。
白石くんはため息をついて作業の手を止めた。
「しゃーないなぁ、ちょっとだけやで。みんな少し休憩しよか。」
「ホンマ!?やった!!」
金ちゃんは言うなり部室の外に駆けていった。
「なんや金ちゃん。暴れ足りんかっただけかいな・・。」
部室の外に出てマスクを外す。
久し振りの新鮮な空気を思う存分味わった。
しばらくして金ちゃんが帰ってきて作業を再開した。
「これ、どこやったっけ?」
掃き掃除、拭き掃除をすませると今度は、荷物を元に戻す作業を始めた。
「それ、そっちやないで。そこのロッカーの上や。」
白石くんの無駄のない指示で荷物たちは元あった位置に無事に戻っていった。
「これで最後ばい。」
「よっしゃあ!!終わったぁ。」
午後も夕方が近い時間にようやく部室の大掃除が終わった。
「要らんもんも捨てて、スッキリしたんやない?」
「これでエクスタシーな新年迎えられるなぁ。」
綺麗になった部室で喋っていると机の上に置いてあるファイルを見つけて手にとった。
「あら真希ちゃん、その手に持ってるのはなに?」
「去年のちゃいます?前に見たことあるっすわ。」
ファイルには去年の試合のスコアやオーダーが入っている。
「すごいやん。ウチらのプレイスタイルなんかも書いてある。」
みんなでファイルを見返してそれぞれの胸の内で今年一年を思い返した。
(前のマネージャーさんすごかったんや・・・。よしウチも今年のファイル作ったる。)