第1章 天下人の女 【織田信長】 《R18》
まるで彫刻みたいな肢体はとても綺麗で、動作に合わせて筋肉が隆起してる。
霞んだ視界に映った姿を眺めながら、荒波に身を任せ……
絶え間ない欲情の果てに快感の頂点へと達してしまった私は。
緩やかになった律動に揺さぶられる中、朧げな意識のまま陶酔していた。
「なんとも艶めかしい表情をする…
果ててもなお俺を煽る気か」
「やだ…私ったら今そんなにはしたない顔してるんですね」
「ああ、堪らなく淫らで美しい。
逢瀬を重ねている時も、嫉妬で膨れている時も、褥で睦み合う時も…貴様の全てが愛おしいのだ」
「信長様……」
いつになく穏やかな眼差しの信長様が、
おでこに貼り付いた前髪をそっと掬ってくれる。
触れる指先、唇……
そのひとつひとつが熱っぽい。
恋愛と言っていいのかあやふやな経験しかない、拙い自分だけれど
貴方に出逢ってやっと分かったんだ。
ーーー愛し愛される、とはどういうことかを。
「私、すごく幸せです。
幸せ過ぎて、夢みたいで…」
「夢は一晩で終わる。
だが…
こうして現の世で過ごすひとときに幕を下ろすのは当分先だ。共に老い、身が朽ち果てるまで…」
落とされた口付けも、抱き締める腕も、ぬくもりも……
夢から醒めても在り続ける、確かなもの。
そう、共にこの時代を生きていく。
いつか、最期に目を閉じるその時までーーー。
完