第3章 それぞれの葛藤
「オメガじゃなかったんだね。
あの新マネさん」
「俺も思った。めちゃくちゃ
華奢でフェロモンえぐそうやのに」
フェロモンって言うな、と
海人がすかさず廉に突っ込む。
アルファは人によっては
オメガの微量の匂いもかぎ分ける。
廉は昔から、その鼻が利いていた。
「……でも、オメガだったら
うちには入れないでしょ。
玄樹で大変なの知ってるのに」
「そっか~。アイツも戦ってんよな」
神宮寺の冷静な言葉に、
廉は納得した返事をした。
玄樹がオメガだと知ったのは
まだジュニアの頃だ。
定期的に仕事を休む彼を、
俺らはどうにもおかしいと踏んで
マネージャーに言いにいった事がある。
そして、これから
グループで活動するからと
教えられた真実。
最低限、守らなければ
ならないこと。
発情期の時期には、
玄樹は仕事を入れずに休養。
俺らアルファの4人は、
ヒートの誘発を防ぐ薬を
飲んで予防をする。
正直、最初はきつかったけれど
何より一緒にいるのが楽しかったから
仕事も出来たし、
今まで続けられている。