第3章 それぞれの葛藤
紫耀Side___
先週から、新しいマネさんが
付くことになった。
チーフマネージャーの蒲田さんから
紹介されたのは、
とても華奢で女性らしい人。
あんまりうちの事務所は
女性マネージャーさんを雇って
いなかったから、
勝瀬さんを
物珍しい目で見てしまったりした。
「しょう、ちょっと見すぎ」
「ん、なにが?」
衣装替えの時に、呆れた顔の
廉にそう言われた。
「勝瀬さんのこと。
まさか惚れてないやろな?」
「いやっちげえわ! そういうんじゃ」
「しょうくん新マネさんのこと
まじまじと見てたよね」
海人と岸くんも、何だか
からかうような目線で口々に
言ってきた。
別に、意識していたわけじゃない。
……って言ったら嘘になる。
今まで、あんな女性らしい物腰で
柔らかい仕草の人に
会った事が無かったから、
少しだけ気をとられたんだ。