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溺愛執事の恋愛事情

第4章 お嬢様の憂鬱


なんなのなんなの。
あったまくる!!
人を除け者扱いして!!
だいたい、帰って来るなりハイセを占領するパパも悪いのよっ。



「皇さま、朝食のご準備が整いました」
「いらないっ!!」

ポカンと呆けるメイドの彼女を意味もなく睨み付けてから。
バタン!!と力のまま自室へと閉じこもった。




なんなの。
朝ごはん呼びに来るのはハイセの役目なのに。
だいたい。
毎朝起こしに来るのだってハイセの立派な仕事のはずなのに。
いったいいつまで仕事放棄するつもりなのよ。


もう絶対、クビにしてやるんだから!!









「お嬢様」





コンコン、て。
小さく叩かれたドア。


「入りますよ?」


次に聞こえたのはギィ、と、扉の開く音、と。
コツコツ、と。
床を規則的に鳴らすよく知った足音。
そしてそれは、頭まで布団をかぶり丸くなるあたしのベッドの前で、音は止んだ。


「……皇」


布団越しに、ハイセの掌が頭に乗る。
名前呼ばれただけでこんなにビクっと反応しちゃう自分の体が今は正直妬ましいけど。



「朝ごはん、出来ましたよ」

「知ってる」


「なら、そろそろ出てきて下さい。遅刻しますよ」
「いい」
「困りましたね、お嬢様のお世話が僕の仕事なのに、遅刻させたとあっては旦那様の僕への評価が下がってしまいます」
「その旦那様にずいぶん気に入られてるじゃない」
「ええ、ですから、評価下げたくないのですが」
「知らない」

「そうですか、では、仕方ないですね」


ぎし、っと音を立てて離れていく掌。
ついでに。
先ほどの規則的な足音は確実にドアへと向かっていく。


「………っ、いいのっ?」


足音が止んで、ドアを開けられちゃう前に。
急いでガバッと布団を放り投げれ、ば。


「………っ」


にこりと笑みをたたえるハイセの姿。


「おはようございます、お嬢様」
「………おはよう、ございます」


しまった。
また、ハイセの手の内だ。

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