第3章 夏幻[R18]
頭の中がぼんやりとしている。
倦怠感を感じながらも
どこか恍惚とした余韻に
身体が浸っていた。
「休むにはまだ早ぇぞ」
何かが下腹部に当たって
その何かはついさっきの指と同じように
割れ目の間を沿って
滑るように中へと
「っっ!!」
さっきとはまるで違う。
その質量に痛みを覚えた。
ゆっくりと推し這入ってくる存在に
身体が小刻みに跳ね出す。
「ぁっ…ャ……待っ、ん」
制止の声は届いていないのか。
どんどん中に這入ってきて
痛みよりも苦しさが増して
とうとう限界まで
隙間なく埋め尽くされていた。
「な、ん…っ……」
「きっつ…」
鈍った思考とは裏腹に
果てたばかりの身体は敏感に反応を示し
中にある存在を感じて受け入れ始めている。
心の準備をする間も無く
幼馴染にハジメテを持っていかれ。
何の断りもなくそうされたことに
少しでも抵抗できればよかったのに。
薄く開いた眼に飛び込んできたのは
眉間に小さくシワを寄せ
少し細められた切れ長の瞳でこちらを見つめる
色香を漂わせた男。
幼い頃から一緒にいたから
全部を見てきたと思っていた。
紛れもなく目の前にいるのは幼馴染。
それはわかっているのに
私の知らない表情をするから
鼓動が高鳴って
重なった視線から逃れることが出来ない。
「動くぞ」
少し余裕のない低音が鼓膜を揺らす。
その音までもが
聞き覚えのない声に聞こえて。
ゆっくりと動き出した存在感が
余計に幼馴染の男の部分を増長させた。
そこまで意識しながらも
徐々に脳内は麻薬のようなもので侵され始め
果たしてこの高鳴りが何なのかは
それ以上考えることままならなかった。
夏の湿った暑さの中で
じんわりと滲む汗と
通い慣れた室内に響く
互いの吐息と卑猥な音。
行為が激しさを増していくにつれて
痛みや苦しさはいつからか
快楽へと姿を変えて。
「っは…これ、ヤベェ……」
「ぁっ…ぁっ、ん…気持ち、イィ…」
何かが満たされていくような
そんな感覚を覚えるのと同時に
昇り詰める絶頂感が
体を支配して。
「も、ぅ…ャッ……ィく…」
「俺も…出すぞ……っ」
「ッッ!」
「っク…!」
痺れるような甘い刺激の果てへと
惹かれ堕ちていった。