第3章 電光石火
『そうですか…話したんですね…』
『うん…確かにさ…三蔵のことは一目惚れって感じで好きだけど…Loveだけど!こんな体じゃ…』
今日は野宿となり、衣月と里白は薪を集めながら話していた。
『あるはずのものがなくたって女性は女性ですよ?』
『そうなんだけどさ…そうなるか分からないけど、そのうちは子供が欲しいってなるじゃん…』
そう言った衣月は悲しそうにしていた。
里白は何度もこんな衣月を見ているのだ。
恋をする度に自分はあるはずのものがないから女ではないと口にして諦めてしまうのだ。
『何度も言っているでしょ?そうなったら私があなたの子供を産むって。』
『そうじゃないんだって…自信が無い…それでも愛される自信がない…』
『私はまだ、三蔵をよく知りません。でも、それだけであなたを嫌いになる人ではないと思いますよ。』
『うん…』
この想いが今後の展開に仇となることを今の衣月には知る由もなかったのである。
夕飯を食べて寝ようとした所に刺客は襲ってきた。
『衣月っ!!』
三蔵の声に気づき銃を構えたが…遅かった。
しかし、振り上げられた剣は衣月には刺さることはなかった。
目の前には剣が腹に貫通しつつも引き金を引く三蔵の姿。
妖怪は頭を撃ち抜かれた為に即死だろう。
『くっ…』
三蔵は剣を引き抜くと衣月に向き直った。
『怪我…は…ないか?』
『ないけどっ!なにしてんのよっ!バカっ!』
『あぁ…本当に…バカだな…』
三蔵はふっと嘲笑うかのような笑みを浮かべると倒れた。