第17章 一念発起
次の日…衣月は本堂に全員を集めて真実を語った。
自分は先代ととある三蔵法師の間に産まれたこと。
今までの衣月は偽りの姿であったこと。
それを話すと案の定…ざわめく修行僧たち。
『こんな奴に三蔵法師は相応しくないと思うやつは相手してやる。今ここでかかってこい。』
衣月がそう言うと何人かが本当にかかってきた。
衣月はいとも簡単に攻撃を仕掛けてきた修行僧たちを倒していく。
『なに?口だけ?こんな程度であたしが三蔵法師に相応しくないとかほざくわけ?』
衣月は地面に倒れ込む修行僧たちを冷たい目付きで睨みつけて言った。
『あのさぁ…仏道に帰依して男女間の不浄を取り去っても三蔵法師にカンタンになれる訳がないんだよ?それが分からんアンタらには一生…あたしには追いつけない。因果応報って言葉があるだろ?有天経文の守り人は正にそれ。初代の守り人の因果応報を神々は許さず、代々の三蔵法師が迷いを犯さないようにと呪いとして受け継がせた。お前らに代々の三蔵法師達が犯した罪を背負う覚悟があるか?他の三蔵法師達よりも長く生きて存在し全てを見届ける自信はあるか?』
衣月の言葉に攻撃を仕掛けてきた修行僧達が複雑そうな顔をした。
有天経文の守り人となる三蔵法師は不老不死状態となる。
しかし、生きれば生きるほど人として生きるのを辞められなくなる。
結果…代々の三蔵法師は色恋沙汰へと癒しを求めた。
神々は色恋沙汰を許さなかった。
その代々の三蔵法師が犯した過ちを次の後継者へと呪いとして受け継がせた。
その事実を知った三蔵法師は色恋沙汰には身を投じず、それが何代か続いた。
それをぶち壊したのは煌央三蔵法師。
自分らしく生きると決めた煌央は色恋沙汰に性行為に賭博など…とにかく欲にまみれた三蔵法師で三仏神に『うるさいよ?そんなのあたしが決めるの!』
と言ったらしい。
そんな煌央の弟子が衣月なのだ。
納得もできる。