第29章 過去と未来の交わり(猿飛佐助)
情事後、二人は素肌のまま、
褥の中で寄り添っていた。
いくら交わりで、
身体は熱くなっているとはいえ、
越後の涼しさと、
お互い裸のままでは風邪をひくと、
佐助は欲望を引き抜いて、
忍の身体を、
横抱きにして運んだのだった。
いや実際はそんなことを、
考えてなどいなかっただろう。
否風邪をひくと、
忍の身を案じたのは確かだ。
だが佐助の心には、
それとは別の邪な思いがあった。
すなわち褥の中で、
もう一度忍を、
抱きたいという思いだ。
五百年後の世界にいた時は、
そんな思いを抱いたことも、
そんな対象がいたことなどなかった。
しかし五百年後の世界の彼女と、
こうして戦国の世にいる、
今はそうではない。
佐助は忍に口づけると、
腰を少しだけ動かし、
もう一度いいかと、
忍におねだりをする。
忍は仕方のない人と、
佐助を窘めると、
佐助の唇に自分の唇を重ね返す。
口づけを合図に、
二人の夜はまだ続いていくのだった。
おしまい