第28章 安土城書庫”せいしゅん”物語(石田三成)
忍「あ・・・落としちゃった」
三成「そうですね。幸い一冊だけですので、
はやく戻してしまいましょう」
三成は落ちたその書物を、
そっと拾い上げる。
三成「おや・・・
これは変わった書物ですね。
初めて見ました」
忍「珍しいね。
三成君が読んだことないって」
三成「ここは書物が豊富ですからね。
しかし興味深いですね・・・」
忍「三成君・・・?」
三成は書物をじっと見つめる。
忍も気になり、
その書物をのぞき込んだ。
忍「・・・っみ・・・
三成君!?」
その書物には、
裸の男女の挿絵が描かれていた。
この時代の文字の・・・
読み書きの自信はなくても、
その独特の絵は、
忍に十分すぎるくらいの、
羞恥を与える。