第16章 交換留学?SIDE安土(家康の章)
忍「え?嫌だった?」
家康「嫌」
忍「なんで?かわいいじゃん」
家康「・・・あのね、大の男がかわいいなんて、
そんなの喜ぶわけないでしょ」
忍「え?そう?三成君あたり、
“ありがとうございます?”
とか言いそうだけど」
家康「・・・あいつと俺を、
一緒にしないでくれる?
本当に君付けはやめて。
あの子があいつを、
呼ぶみたいで背中が寒くなる」
忍「あの子って私の代わりに、
越後行っている子?」
家康「そう」
忍の疑問に家康は静かに肯定する。
忍「あいつって?」
家康「三成。あの子あいつのこと君付けで呼ぶから」
忍「そうなんだ。ほかには?」
家康「ほか?せいぜいあんたが呼べないって、
そう言ってた政宗さんのこと、
呼び捨てにしている以外は、
呼び方あんたと変わらないと思うけど?」
忍「そうなんだ」
家康「あと年っていうなら今のあんただと、
みんなさん付けいると思うけど?」
忍のナリを見ながら家康はそう語る。
来た日に毒の仕込まれた針に、
うっかり触ってしまったために、
変わってしまったその姿は、
いまだにもとに戻れてはいない。
忍「解毒剤まだ・・・だよね?」
家康「まだだね。できたら呼ぶよ。
まああんたがここにいる間に、
できるとは言っていないけど」
忍「そうだよね・・・」
忍はがっくりとうなだれる。