【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第57章 Heart melter
すぐに車が走り出したけど、なんだか様子がおかしい。
「多分、会社と逆方向ですよ?」
「会社には連絡したから大丈夫だよ。あんなことがあった後だし......倫毘沙に事情を説明してもらうようにお願いしたから」
そうだよね、今は戻らない方がいいかもしれない。
私からは、明日詳しく事情を説明すればいいか。
北門さんにもお礼を言っておこう。
「ありがとうございます」
右手をギュッと握られると指を絡められて恋人繋ぎになる。
最大の愛情表情って、こういうのだよね?
その温もりに口元が緩んで、ばれないように窓の外を見た。
流れる景色、走って行く方向はマンションとも逆方向な気がする。
「どこに向かってるんですか?」
「着くまで、内緒」
車が停まると、腕を引かれて歩き出した。
部屋に入るなり、ベッドに押し倒される。
「増長さん......?」
見上げた彼はにっこり微笑んでいるけど、
ついた先は......ホテル?
そこから抜け出そうとすれば、身体が密着してて無理そうだ。
「怪我したって聞いた時、すごく不安だった。俺の知らない所でみょうじさんに、もしものことがあったら......いなくなったらどうしようって」
抱きしめる腕は力強いのに、少し震えている気がする。
ものすごく、心配かけたんだ。
「今日は、二人で居たい」
私が逆の立場でも、物凄く不安だったと思う。
『好き』って一緒に居るだけで幸せなのに、もっと、もっと、ってその先を望んで欲張りになるんだ。
「いなくなったりしませんけど、安心できるならそうしましょうか」
「いいの?」
「はい」
その身体をありったけの力で抱きしめ返したけど、
「ありがとう。それって全力で抱きついてくれてるの?」
「そうですよ......ひゃっ!」
ごろんと反転させられれば上に乗って、抱きしめられる体制になる。
そのまま、ぽすっと胸板に顔が埋まった。
「力弱いね」
頭上からは、くすくす笑う声がする。
「俺は加減しないと壊しちゃいそうだよ」
見上げると視線絡んで、優しく抱きしめられた。
「大丈夫です。私は子犬みたいに弱くありませんよ」
彼は子犬が苦手でその理由が『小さすぎてどう扱っていいのか分からない』って前に言っていたから。