第53章 Love trigger

「でも、前にも言ったけど......俺がもし逆の立場ならって思うんだ」

「えっ？」

「やっぱり選ばれてなくても......諦めきれなくて手を出してるかも」

「ええっ！」

驚く彼女を膝に乗せて抱きしめた。
もう抱きしめ慣れているせいか、自分の身体にぴったり収まる彼女が愛しい。

だから......。


「みょうじさんに触れたいって、皆の気持ちはよく分かるよ」

「ええっ！」

「でも、警戒心はもってね？」

「大丈夫だと思います。私には勿体無いので！むしろ、増長さんが選んでくれたことが奇跡ですから！ありがとう、平成の奇跡！いや、令和？どっちだろう......」

「ふふっ、そういう自覚が無い所はどうやったら直るの？」

「え？」

「みょうじさんを責めなくても、やっぱりお仕置きはしないとね。毎回、足腰立たなくさせちゃおうかな」

小さな身体を反転させるとそのまま彼女を組み敷いた。


「増長さん！？」

「照れてるの？......可愛い」


驚いて真っ赤な顔。

どんな表情でも世界一、宇宙一可愛い。
甘い香り......綺麗な唇に誘われるように口付けた。



「好きだよ......」

死ぬまで俺は彼女に愛を囁き続けたい。


「嬉しいです。私はものすごく愛してます！」


なんて、不意打ち......。


「本当にずるいね」

「えっ？」

「可愛いさがずるい」

「可愛いくない「みょうじさん？」

「ごめんなさい、間違いです！」

「だから、俺が可愛いって言ったら可愛いんだよ？」

「出ましたね、謎の屁理屈？」


「まぁ、いいか......俺も、一生かけて愛するよ。勿論、拒否権はないからね？」

「はい、大歓迎です！」


ずっと一緒に居ようね。

小さくて可愛い、かけがえのない存在。

もう一度誘われるように口付けた。




君の笑顔でこの世界は色付いて

彩られていった



目が合えば幸せで

毎日が幸福で満たされていく

愛を伝え合う喜びにひたすら溺れて



本当は

何も見えていなかったのかもしれないーー。