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【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......

第1章 Happeningは運命の予兆


少しして振り返ると、そこには陸上部さながらのフォームで走る姿がある。「速い!」なんて感心している間に、腕を掴まれて自分の両足が止まった。勿論、あのフォームを見て「逃げ切れる」なんて思ってないけど。こうなったら最後の悪あがきをしようと、彼が力をかける方向と逆に足を踏ん張ってみる。

「離してください!」
「アタシ変質者じゃないわよ。スカウトをしに来たの」

すかうと......スカウト?
あのスカウト......?

ぽかんと口を開けたまま間抜けな顔を向けていただろう。そんな私に綺麗に笑った彼が何かを差し出してきた。そしてそこには『ガンダーラ ミュージック』との名前がある。これ名刺だ......そして、ガンダーラミュージックといえば誰もが知っている業界大手のレコード会社だ。

ただの学生、その学校も音楽関係じゃない自分にこんな美味しい話は無いはずだ。もしかしたら新手の詐欺かもしれない。あまりに突然のことなのに、口から出た言葉は「よろしくお願いします!」だった。

それを聞いた彼の口元が綺麗に弧を描く。反射的に話にのってしまったのだと自覚して、やっぱり離れられないのだと自覚した。一度、夢を諦めてからはずっと音楽から離れてた。それでも、やっぱり好きなことに関わる仕事は興味深い。

入社後はA&Rとして働くということを伝えられたが、A&Rという役職の意味がわからない。業界では有名な職種なんだろうか。どんなお仕事なんだろう。

その時の私は、上手く言えないが不安よりわくわく......何かが始まりそうな大きなときめきを感じていた。
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