第17章 初めての感情 色づく世界

「増長さん？」

驚いた事に、彼女は起きていた。


「よく眠れた？」

「はい。大変な時に眠ってしまったみたいで、ごめんなさい......」

「気にしないで、それより......」

ベッドの件を彼女に話した。


「俺はリビングで寝るから、ここで寝て」

「それなら、私がソファーで寝ます！増長さんはベッドで寝てください」

「だめだよ。本当に俺は大丈夫だから......」

「えっと......ベッドで先に休んでくださいね。私はお風呂に入ってきます」

そのままリビングへ向かおうとする彼女。
その足がなぜかピタリと止まった。


「あの、もう......寝ますよね？」

振り向いた顔はなんとも言えない表情だ。


「うん、そう思ってたけど......どうしたの？」

「い、いえ！何でもないです！！」

そう言うと再び歩き出したけど......また、止まった？


「あの、お願いがあるんですけど......」

「うん、どうしたの？」

「私がお風呂に入るまで......リビングで待っててくれませんか？」

彼女は顔を真っ赤にしてそう言った。


なるほど真っ暗だもんね。