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星条旗のショアライン

第17章 ジョニー・ストーム(F4/MCUクロス)



(5)

「これは驚いたな……」
そんな中、いやにソーが大人しいなと思っていると感嘆の声を漏らしていた。ムジョルニアの仮の姿であるモダンな雨傘を手遊びする事も忘れて、目の前のジョニーをしげしげと見詰めている。ソーもこの男がスティーブの顔をしておきながらスティーブではない男だと理解したらしい。
あくまで所見だが、身長が六フィートである事や声帯が近しい事など、やはり顔以外でもスティーブと同じところが散見される。ソーも洞察力の優れた人物だから共通点を見抜いて戦慄すらしている様子だ。
しかし隣立った彼に「彼はジョニー・ストーム。例のヒューマン・トーチだ」と説明をすると、急に表情を殺して値踏みをするような視線を配り始めた。やはりあの朝刊の内容を知っているからなのだろう。地球の電子朝刊の内容をどうやって知るかは分からないが、たびたび名の上がるヘイムダルという御仁ならば若しくは。
「筋肉野郎に見詰められたって嬉しくねぇ」
「――なるほど、顔以外は全くもって我が友とは言えない」
(……)
スティーブと少しも違わない整った美貌が表情豊かに動く事実には正直言ってかなり興味があるものの、ソーの言う通り、中身が余りにも本人と乖離していて同一視は出来ないでいる事が救いだ。よく見れば他にも共通しない部分が大いにある。髪の色、仕草、歩き方、性格、話し方、一人称など……冷静に考えばキリがない。
さりとてとにかく外見が似ている。行き着くところはもうそれしか無い。本当にそっくりだ。ウインクなんて飛ばされてしまったらときめき過ぎて心臓が口から出そう。かくして『そっくりである』という事実が俺を翻弄しているということを、ジョニーはしっかりと理解していた。



終わり?
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