第24章 IN THE SUMMER【S×A×N】
「汗がいい匂いな訳、ないし…」
「そんなことないよ。時間が経ってない汗は、いい匂いだよ…例えていうなら、干し草の匂い…っていうか…」
「干し草??」
「そ!お日さまの匂い、っていうのか
…」
お日さまっ…
「…でも…さっき…」
夢だったのかな?
汗のにおいを嗅いだとき、距離感間違えちゃって…それで…
「ニノ、可愛いね…ずっとこうしたいって思ってたんだよ♡」
「…こうしたい…って…翔、さん…」
見つめ合う…
綺麗なキラッキラの瞳に、俺が映ってる。
「…ああ、やっぱ我慢できなくなっちゃった」
(えええええっ!!)
言い終わらないうちに、翔さんの唇が一気に距離を詰め、あっという間に俺のと重なった。
(嘘でしょ!?)
俺……
重なった翔さんの唇は、信じられないくらいに柔らかくて…
熱かった。
ど、ど、どうしよ…
そっと啄むように優しく動いていたそれは、ゆっくり離れ、
「目…閉じるの!」
命令口調で言われた俺は、
「あ、は、はい…」
急いで目をぎゅっと瞑った。
急に来たキスの意味を確認することも、考えることも無いまま…
言われるままに目を閉じると、今度は俺の背中を引き寄せて、口づけた。
押し付けられた唇が、俺の下唇をチューッと吸い、そのまま上唇も同じように吸った。
「…んんっ…」
思わず声が漏れた。
自分の声じゃないみたいな…
甘く、湿った声…
俺、こんな声出すんだ…
痺れたようになった頭の奥で、そんなことを考えていた。
今現在起こっていることが、現実じゃないみたいで…
上手く言葉にできない……
不思議な気持ちだ。